2020年の動向

人知と天恵はヴィンテージを超える!
穏やかな果実は芳醇にタンニンは錬磨の極みへ

香り力強く、濃縮した果実味とクリーミーとも言える質感、甘く熟したタンニン、うっとりさせるような魅力とバランス、ストラクチャーを併せ持ち、エレガントですべての要素を束ねる酸味が見事に調和した2020年は偉大な品質を示しており、2018、2019年と3年連続で傑出したヴィンテージとなりました。

この年は全体的に気温が高く、降雨が多く暖かい冬、降雨が多く局地的に霜、雹、洪水などに見舞われた問題の多かった春、酷暑で乾燥した夏と、特異な気象条件にも拘らず、注目すべき素晴らしくバランスの取れた偉大なワインが生まれ、2020年ヴィンテージのパラドックスと呼ばれています。

その品質は気象条件とほとんどのボルドー全域で行われた収穫量縮小による複合的効果によるもので生産量は440万ヘクトリットルで前年比9%減となり、10年平均比では12%減となりました。
非常に高い完成度であり貴重なヴィンテージですが、本数が少ないのが今年の特徴です。そのような意味で2020年は非常に価値あるプリムールとなるでしょう。

2020年産ボルドーワインの評価

2020年は例年に比べて降雨量が多く、気温の高い年となりました。冬の歴史的な降雨量により土壌に豊富な貯水量をもたらしました。冬から春にかけての穏やかで暖かい気候により、例年より早い3月中旬には発芽が見られました(最も暖かい土壌では2月中旬に発芽の兆しが見られました)。3月末の2度の霜害は特定の地区にダメージを与えましたが、ジロンド県全体から見れば被害は限定的でした。4月も気温は高くなりました。4月にいくつかの嵐があり、そのうちの一つは雹を伴い大変激しくアントル・ドゥ・メール、フラン・コード・ド・ボルドー、サンテミリオンに被害を及ぼしました。

5月は一カ月を通して日照時間が長く暖かく、前半は降雨量が豊富でした。時折その豪雨はいくつかの区画で洪水を引き起こしました。冬からの暖かい気候により開花は例年より2週間ほど早く5月20日頃に始まりました。6月末から7月も気温が高いまま推移しましたが、降雨が少なく乾燥し日照時間も多く、ブドウの成長は良好に保たれました。中旬にはヴェレーゾン(色づき)が現れ、下旬には広く行き渡りました。8月は時々酷暑となり、局地的な大小の夏嵐があり、水ストレスの目立った兆候無しに、全ての房はヴェレーゾンを終えました。 9月も気温が高く前半の日照時間は良好でした。昼夜の大きな寒暖差は良好なフェノール成熟とアロマの成長を促しました。良く晴れた日照はブドウの十分な成熟とアントシアニンの成長に有利に働きました。2020年はブドウ成長サイクルの全てのステージで平均より約2週間ほど早く、収穫のタイミングも早まりましたが、穏やかで暖かい気候のおかげでブドウはゆっくりと時間をかけて成熟することが出来ました。収穫されたブドウはアルコール、酸度、タンニンの素晴らしいバランスを持っています。2020年は早熟のヴィンテージと特徴付けられていますが、非常に素晴らしいバランスが際立っています。

ボルドー左岸では9月5日頃からメルロの収穫が始まり、続いて中旬からカベルネ・ソーヴィニヨンの収穫、そしてほとんどの生産者は10月初旬までに収穫を終えました。収穫されたブドウは果皮が厚く小ぶりで十分な色素とタンニンを獲得することが出来ました。ポムロールとサンテミリオンのメルロとカベルネフランの深い紫色、力強いボディ、フルーティさ、濃厚さは衝撃的とさえ評されています。

ソーヴィニヨン・グリとソーヴィニヨン・ブランは芳醇な香りとフレッシュネス、そして酸度を保つため、非常に早く収穫され8月中旬に収穫が始まりました。暑い夏にも拘らず、ブドウは良好なレベルの酸度を保ちました。それらは非常に明瞭なアロマ、素晴らしいストラクチャーで甘く、風味濃厚で口中に広がる大変すばらしい余韻を持っています。グラーヴとペサック・レオニャンの白ワインは、まろやかで、白い花の素晴らしいアロマを持ったフルボディのワインとなりました。アントル・ドゥ・メールでは最上のセミヨン、ソーヴィニヨン・グリ、ミュスカデルからフルーティで白い花の香りの複雑なタッチを持ち、素晴らしいほどの鮮度、シトラス香、口に広がる良好な余韻のある辛口白ワインが生まれました。 ボルドー大学教授のLaurence Geny教授とProf. Axel Marchal教授は「2020年ヴィンテージは風味濃厚な白ワイン、奇跡的な甘口ワイン、素晴らしいストラクチャーとバランスを持った赤ワインと偉大な成功を収めた。」と評しています。

長期熟成を待ちたい方にも、早くから楽しみたい方にも多くの喜びを与えてくれる、このまれにみる、特別なヴィンテージは上質のストラクチャーのおかげで、この先何十年も楽しむことが出来、長く私たちの記憶に残る事でしょう。テイスティングを通して、プリムールワインのご購入にお役立てください。

2020年7月

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